![]() | 一人でのSES・準委任契約が気になる人 「SES・準委任契約って、一人常駐でも大丈夫なの? 偽装請負や違法派遣の話を聞くから心配で、、、。 問題があるのか知りたいな。 あと、SES・準委任契約で一人常駐させる会社に、居続けてもいいのか教えてほしい!」 |
こういった悩みを解決します。
本記事のテーマ
- SES・準委任契約で一人常駐はNG?【3つの理由】
- 一人でもSES・準委任契約をさせる理由
- SES・準委任契約で一人常駐をさせる会社は避けるべき
この記事を書いている僕は、SES業界8年。
営業・採用として多方面に仕事をしているので、SES業界については詳しいかなと。
結論を先に伝えると、「SES・準委任契約の一人常駐はNG」という内容なのですが、
順を追って解説していきます。
※記事後半は、偽装請負や違法派遣が不安な方向けに「一人常駐をさせる会社は避けましょう」という話もしています。
SES・準委任契約で一人常駐はNG?【3つの理由】

「偽装請負・違法派遣」になる可能性があります。
理由は次の3つ。
- その①:客先からの「直接指示」がNG
- その②:客先での「勤怠管理」がNG
- その③:二人以上で常駐が必要
ちなみに、「SES契約」=「準委任契約」です。
SES(システムエンジニアリングサービス)とは?
エンジニアを客先へ常駐させ、技術力や労働力を時間で提供するサービス
SES契約について詳しくない方は、「SES契約とは?派遣・請負との違いをまとめて解説【営業必読】」をご覧ください。
その①:客先からの「直接指示」がNG
SES・準委任契約では、客先に「指揮命令」の権利はないので。
指揮命令とは?
プロジェクト遂行のため、常駐エンジニアへ指示を出し、「管理・監督」をすること
客先から直接指示ができるのは、「派遣契約」だけです。
契約名 | SES (準委任) | 派遣 | 請負 |
---|---|---|---|
指揮命令 | なし ※エンジニア側 | あり ※現場側 | なし ※エンジニア側 |
成果判断 | 働いた時間 | 働いた時間 | システム納品 |
完成責任 | なし | なし | あり |
報酬支払 | 毎月 | 毎月 | システム納品後 |
免許 | なし | 必要 ※一般派遣 | なし |
SES・準委任契約は、「この仕事を任せます」という「業務委託」の契約。
客先から指示を出すのは、「偽装請負・違法派遣」だけです。
まぁ・・・実態としては、どこの会社も直接指示をしているのですが、、、。
その②:客先での「勤怠管理」がNG
勤怠管理は「派遣契約」のみOK。
- 有給申請をしたら、客先に断られた…
- 客先から休日出勤・残業を依頼された…
- 体調不良で欠勤したら、客先に怒られた…
ぶっちゃけ、SES・準委任契約では“すべてNG”です。
ポイントは直接指示と一緒で、「指揮命令」の権利がどこにあるかです。
指揮命令の権利
- SES契約:雇用主(自分の会社)
- 派遣契約:客先(発注元のクライアント)
SES・準委任契約では、自社の担当者が“有給・休日出勤・残業”の判断をするのが正しい流れです。
とはいえ、一人で常駐してたらむずかしいですよね。。。
その③:二人以上で常駐が必要
正しくは、自社の“管理者”と二人以上です。
- 管理者:自分で判断して仕事ができ、メンバーへ指示が出せる人
- メンバー:指示がないと仕事ができない人
管理者と一緒なら、次の流れで指示が出せます。
- 客先から指示は出せないが、管理者との『話』はOK
- 管理者は自分で考えられるので、話すだけでは指示にならない
- 管理者は客先との『話』をもとに、メンバーへ指示を出す

ぶっちゃけ、なぞ理論ではあります、、、。
メンバ一人の常駐だと、客先からの『話』だけでも指示になるのでNGだけど、管理者なら『話』だけでも必要な仕事を理解できるからOK、という理論。
でも、これがSES・準委任契約の解釈です。
一人でもSES・準委任契約をさせる理由

「偽装請負・違法派遣の可能性があるのに、なぜSES・準委任契約をするの?」という疑問にお答えします。
理由は3つです。
- その①:リスクが少ない
- その②:派遣は不便
- その③:人を集めるのが簡単
一つずつ見ていきましょう。
その①:リスクが少ない
これが、一番の理由かなと。
SES・準委任は、「システムを完成させる責任はなく、働いた時間で報酬の請求ができる契約」です。
例えば、開発したシステムで納品後にトラブルが発生したとしても、SES企業は一切責任はありません。
しかも、エンジニアが働けば報酬は発生するので、安定した収入が得られます。
責任がなく、安定した収益があるので、SES・準委任契約を優先する企業が多いのです。
ちなみに、請負契約は「システムが完成させる責任がある」ので、システムを納品しないと報酬がもらえないリスクがあります。
その②:派遣は不便
SES契約と比べて、派遣契約は不便です。
- 派遣の「免許」が必要
- 現場と「直接契約」が必要
- 毎回、「雇用契約」が必要
- 現場が「管理監督」しなければならない
- 派遣は「最低賃金」が決められている
補足として、IT業界は「多重請負」での仕事が多いから、現場(元請・2次請け)との「直接契約」はむずかしいです。

SES契約だと一つ上の会社と契約するだけでいいですが、派遣だと「現場の会社と直接契約」しなければなりません。
ただし、次の問題があります。
- 中間にいる会社がOKしない
- 資本金が少ない中小企業だと、現場が契約してくれない
- 現場は契約する会社を一つにまとめたい
などなど、、、。だけど・・・エンジニアは必要。
結果として、契約しやすいSES・準委任契約にしようとなりがちです。
その③:人を集めるのが簡単
なぜなら、「リスクが少ない」、「直接契約が必要ない」、「契約が簡単」から。
IT業界は人手不足です。
2030年には、76万人もIT人材が不足すると言われています。

この状況なので、請負リスクを考えたり、派遣手続きに時間がかかるようだと、人が集まりません。
結果として、プロジェクトごとに必要な人材を“早く”、“柔軟”に集められる、SES・準委任契約が使われます。
SES・準委任契約で一人常駐をさせる会社は避けるべき

ここまで読んだ方は、「今の会社、、、大丈夫?」と不安になったかもしれません。
僕の結論としては、「一人常駐させる会社は避けるべき」だと思っています。
理由①:法律違反に巻き込まれる
「偽装請負」、「違法派遣」は法律違反です。
- 社名の公表
- 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金
最悪、所属する会社が「事業停止」になる場合もあります。
本人への罰則はありませんが、結果として仕事がなくなる可能性も、、、。
理由②:将来性がない会社の可能性あり
違法行為でしか収益が出せないなら、将来性はあやしいかなと。
将来性のない会社の特徴としては、次の5つ。
- SESしか事業がない
- 下位層の下請けしか仕事がない
- エンジニア以外の仕事をさせられる
- 平均年収が低い
- 免許・資格がない(派遣・Pマーク)
今の会社が当てはまるなら、転職を考えたほうが良いかもしれません。
理由③:一人常駐は孤独
特に、新人の一人常駐は孤独かなと。
- 気軽に相談できる人がいない
- スキルがないのにムチャぶり
- 自社もフォローしてくれない
研修やフォロー体制がしっかりしていないのに、一人で常駐させられる新人は、孤独でつらいはずです。
今の環境がつらいと感じたら、無理する必要はありません。

「常駐+新人+1人」にしている会社が悪いので。
さっさと会社を離れるのが良いかと思います。
SES・準委任契約でも『一人じゃない』会社もあるという事実

というわけで、今回は以上ですが最後に一つだけ。
それは、SES・準委任契約でも『一人じゃない』会社もあるということです。
- ベテランの先輩と一緒に現場に入れる会社
- チームで現場に入り、サポート体制がある会社
- 一人前になるまでは、社内案件でスキルを身につけられる会社
などなど・・・
同じSES・準委任契約の会社でも『優良企業』は存在します。
- 30代、40代のエンジニアが全体の50%いる
- “評価制度”と”キャリアパス”が明確
- 商流が浅いプロジェクトが多い
- SES以外にも事業展開をしている
- エンジニア経験者の採用ができている
こういった感じで、違法リスクがなく、働ける会社もあります。
詳しくは【誰でもできる!】SESの優良企業を見つける方法とは?【5つのポイントを紹介】でまとめていますので、ご覧ください。
それでは、この辺で。
最後までありがとうございました。